タバコは美容の大敵!

タバコの不都合な真実

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日本の事情

イメージ戦略

タバコがかっこよかった時代

かつてタバコを吸うことは「かっこいい」と思われていました。映画やテレビドラマの中で、俳優がかっこよくタバコを吸うシーンに憧れて、タバコを吸い始めた人も多かったようです。タバコに良いイメージを植え付ける、意図的に刷り込む、それが、タバコ産業の販売戦略でした。アメリカの有名な俳優Sは、5つ以上の主演映画でタバコを吸うことで、タバコ会社から50万ドルの謝礼を受けとるという契約書をかわしたことがわかっています。健康に害があることは承知の上で、とくに未成年を喫煙に誘い込む手法を、タバコ会社は様々講じていたこともわかっています。日本でも、人気のある俳優が、映画やドラマの中で喫煙するシーンがつい最近まで多く放映されていました。しかし、最近では、タバコを吸うことは、若い人たちの間では、かっこいい、とは思われておらず、むしろ、*かっこよくない風潮になっているようです。大学生アンケート調査

タバコパッケージ

タバコ産業は広告に膨大な費用をかけて宣伝しています。パッケージデザインもそのひとつ。「マイルドセブン」(現在の「メビウス」)は、パッケージを「青と白」のデザインにして、「さわやかさ」を演出して大成功しました。本来タバコの持つ「茶色っぽい」(ヤニ)のイメージを払拭した戦略です。しかし、*海外の多くの国はそうではありません。タバコによる害を減らそうという観点から、タバコのパッケージに、インパクトのある画像入りの警告表示をつけたり、警告表示の面積を増やすなどの努力をしており、また、パッケージそのもののデザイン性も販売促進につながることから、パッケージデザインそのものをなくした「プレーンパッケージ」を採用する国も出てきました。さらに、「マイルド」「ライト」などの表現がタバコの害が少ないかのような誤解を与えるので、使用を禁止する国も増えています。日本のタバコ「マイルドセブン」は、とても浸透していた名称ですが、そのままでは海外で販売できないため、しかたなく「メビウス」と名称を変更したという経緯があります。世界のタバコ警告表示

日本の特殊事情

相反する法律

このように海外では厳しく規制されているタバコ。日本も、タバコを規制する国際条約「たばこ規制枠組み条約」(FCTC)の締約国でありながら、あまり規制が進んでいないのはなぜでしょうか?実は、日本には特殊な事情があるのです。それは「たばこ事業法」という相反する法律の存在です。かつて、日本には「専売制」という制度があり、国がタバコを占有的に製造・販売してきた歴史があります。日露戦争にかかる費用を作り出すために、「たばこ事業法」という法律を作り、「財政収入」の安定的確保のために、タバコ販売を推奨してきました。そのため、タバコは現在でも「財務省」の管轄で、株式の3分の1以上を財務大臣が保有しています。海外では、タバコは健康に影響を及ぼすものとして、「厚生労働省」にあたる部署が管轄しています。いくらタバコが身体に悪い影響があったとしても、日本では税収入としての観点のみでとらえられているので、口から入るものなのに、「食品衛生法」に触れることもなく、ニコチンという依存性物質が入っているのに、「薬事法」にも触れず、発ガン性物質が入っているのに、「製造物責任(PL法)」にも問われることはありません。

利権構造

確かに、タバコの税収入は*2兆2千億円ほどあります。しかし、超過医療費や喫煙関連疾患による労働力の損失や、火災による労働力損失を含んだタバコによる経済損失額はなんと7兆4千億円。タバコ税収入の3倍以上も損をしてしまっているのです。長い目で見たら、タバコを禁止した方が経済的にも得なのに、目先の税収入のためには禁止に踏み切れない。国が経済的依存に陥っているといえそうです。しかし、問題はそれだけではありません。日本のタバコ会社は、財務官僚の有力な「天下り先」であり、歴代の社長の椅子は多くが元財務官僚です。*社長の年収は1億3千万もあります。その他、タバコ業界と密接なつながりを持った「タバコ族議員」や、年間200億円以上もの広告宣伝費を得ている「マスコミ業界」、また、タバコの害はわかっていない、などと発言する「御用学者」など、ごく一部の人たちが利益を享受する「利権」のために、国民の多くの命が軽視されているのが実情です。 これは、「エイズ」になるのがわかっているのに非加熱製剤を売り続けた企業や、狂牛病に感染している恐れがあるのに牛肉を売り続けた企業と同じ構造です。アスベストによる健康被害の危険性を認識しながら対策を取らなかった日本と、迅速に対応した諸外国との違いもタバコと良く似ています。
*平成14年 医療経済研究機構 調査研究報告書 *平成26年 日本たばこ産業 有価証券報告書より

政・官・学・業の相関図

タバコ産業の戦略

巧みな広告宣伝

雑誌や新聞、未成年が読むマンガ本などには今でもタバコの広告宣伝が載っています。これは国際条約の「たばこ規制枠組み条約」(FCTC)に違反しています。テレビでは、タバコ製品そのもののCMは自粛されているようですが、別の方法でのテレビCMが行われています。「マナー広告」「企業イメージ広告」「分煙広告」です。

タバコのポイ捨てをやめようという内容の広告宣伝は、「マナーさえ守れば、喫煙してよい」という誤解を与える内容です。本来、タバコは吸った本人の身体に害があるだけでなく、周囲の人の健康を害する物質です。「健康被害」であるタバコの問題を、「マナー論」にすりかえようとする狙いに騙されてしまいます。

「ひとのときを思う」というイメージ広告は、ふわっとした雰囲気の映像で、あたかもタバコで「リラックス」できるかのようイメージを喚起させますが、タバコを吸わない人にとって、他人の煙を吸わされることは健康被害であり、とてもリラックスできるものではありません。喫煙者がタバコを吸う“とき”を、吸わない人も許容してほしい、というのは身勝手な言い分です。「共存」という言葉も使われていますが、タバコの煙に害がある以上、吸わない人が一方的に迷惑をかけられてしまう状況を「共存」とはいえません。

「分煙」広告は、「喫煙所をつくって、タバコを吸う場所を確保する」という意味合いで、吸える場所を増やして、「禁煙」を阻止しよう、という狙いが含まれています。タバコの害が明確にわかってしまった以上、喫煙所を確保することが最後の生き残り戦略なのです。しかし、あまり違和感を感じない多くの人は、このようなCMに、知らず知らずのうちに騙されてしまっているのです。

また、若者が吸い殻を拾う「ボランティア活動」にもタバコ会社は協賛してお金を出していますが、ボランティアという一見良さそうな活動を通して、企業イメージを上げようという巧みな広告宣伝です。本来、タバコを販売しなければ、ポイ捨て自体がおこらないナンセンスなことなのですが、「良いことをしている」というイメージに惑わされている人は多いようです。

得をするのは誰なのか?

アメリカのタバコCMに出演していた俳優が、タバコ会社役員に「なぜあなたはタバコを吸わないのですか?」と聞いたところ、このように答えたといいます。「もちろん、そんなもの吸わないさ。俺たちはただ売るだけ。タバコを吸う権利なんざ、ガキや貧乏人、黒人とバカにくれてやるよ。」*イギリスITV放送「ファースト・チューズデー」1992年

2000年から、フロリダの若者向けに始められた禁煙キャンペーンtruth project(真実プロジェクト)では、「タバコが健康を害している」ことよりも「タバコ会社が君たちを騙して将来の健康を奪っている」ことを伝えています。「誰が何のために誰を騙そうとしているのか?」「タバコを吸うことで得をするのは誰なのか?損をするのは誰なのか?」という観点でとらえていくと、真実が見えてくるのではないでしょうか?

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飲食店の禁煙状況(追記)

日本の飲食店にも禁煙店が増えつつありますが、まだまだ喫煙可のお店が一般的に多いのが現状です。禁煙中の人が途中で失敗してしまう理由として、居酒屋などお酒の席で他の人がタバコを吸っていたから、という声をよく聞きますね。

海外旅行に行くと、レストランだけでなくバーもすべて禁煙の国が多いことに気づくと思います。飲食店のように、多くの人が利用する公共のスペースで、身体に害のあるタバコの煙を吸わされないことは常識となっています。また、飲食店で働く従業員の方にとっては「職場」であり、一日の大半を過ごす場所です。

日本では、「禁煙にすると売上が落ちるのではないか?」という懸念から、飲食店の禁煙化が進みませんが、それは諸外国と違って、健康よりも利益を優先している姿勢だからでしょう。しかし、日本でも現在では成人の8割以上が非喫煙者です。未成年者を含めれば、さらに多くの人がタバコを吸いません。飲食店を禁煙にしている諸外国では、禁煙にしてもお店の売上は落ちなかった、という信頼出来る研究機関からの調査結果が数多く出ています。飲食店ごとに、喫煙、分煙、のように複雑にしてしまうのではなく、全てのお店を「一律禁煙」にすることで、売上の不公平感はなくなります。

禁煙にしたら、喫煙者が不便な思いをするからかわいそう、と、非喫煙者が一方的に我慢をする、という現在のような構図ではなく、どうしたら、利用者も従業員も「健康被害」を受けないようにできるのか?安心して過ごせる空間になるのか?という観点で考えることが必要です。

オリンピック開催地の飲食店禁煙状況

WHOとIOCとの取り決めにより、オリンピック開催地は「禁煙」で行うことが通例になっています。諸外国と同じように「2020年の東京オリンピックは禁煙」で、という動きがようやく日本でも。しかし、開催地「東京都」の、2020年4月から施行の条例では一律全面禁煙というわけにはいかず、「従業員がいない店(個人・家族経営)」の場合は例外として喫煙を認めるという内容になってしまいました。それでも、国の法律(改正健康増進法)の「小規模店(客席面積100平米以下、資本金5000万円以下)」と比較すれば、禁煙の飲食店は増える見込みです。早く日本全体の飲食店が一律禁煙になる日が来ることを願います。


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